製品を通じた環境貢献(エコプロダクツ)
東京精密グループは、これからも、安全・品質・高性能かつ環境に配慮した製品を提供する、責任あるモノづくり企業であり続けることが役割だと考えています。
新製品開発審査
当社は独自の社内規程(TES*)に基づいて、新製品の環境性能を審査し、環境に配慮した製品開発に取り組んでいます。新製品開発審査規定に従い、製品企画テーマごとに製品企画審査委員会が設置され、審議を行います。この審査規定には、開発および設計の際に考慮すべき原則が定められており、環境性能として、コンパクト化、部品点数の極少化とともに環境対策について審査することが記載されています。
* TES(東京精密技術標準)
東京精密規程(TMR)で規定された生産活動に関わる、開発・設計・製造・生産管理・品質管理・サービスおよび環境管理に適用する規則で、拘束力・強制力を持つ規定・規格・標準・基準・要領
新製品開発審査体制図
TES新製品開発審査規定
開発原則 |
製品開発の原則 |
設計原則 |
10のうち環境に関わる原則 ・部品点数の極少化 ・製品廃棄時への配慮 |
製品開発時のライフサイクルアセスメント(LCA)
当社は、製品の全ライフサイクルにおける環境負荷への責任を認識し、2016年にCSR推進委員会の技術ワーキンググループによって製品の製造から廃棄までの各段階における環境負荷を、CO₂排出量に換算する算定基準(ライフサイクルアセスメント:LCA)に統一しました。この方法により求めたCO₂排出量を新製品開発審査時の必須評価項目と定めています。設計時にはLCAの目標値を設定し、結果の判断として評価機関などによるLCAの実績を算出、評価しています。また、2023年度より、既存製品のLCA算出を順次行い、Scope3カテゴリ11(自社が販売した製品の使用に伴うCO₂排出量)のシミュレーションを行うとともに機能向上による排出量削減の評価を行いました。今後も生産効率向上と排出量削減の両立を実現する改良を行っていきます。
環境配慮型製品
東京精密の製品は生産設備の性格上、稼働時間が長く長寿命であることから、CO₂排出量に換算した場合、製品使用時の電力消費がライフサイクル総排出量の多くを占めることになります。
このことから、お客さまのモノづくりの現場での環境負荷を低減する製品の開発・設計に注力しています。
半導体製造装置
スループット向上による環境負荷低減
ウェーハ薄片化時間を約50%短縮(PG3000RMX比)
ロット処理時間を約20%短縮(UF3000EX比)
精密測定機器
幅広い精度保証温度による環境負荷*低減
* 幅広い精度保証温度による環境負荷
測定機器は20℃環境での精度保証が一般的ですが、これを幅広い精度保証温度とすることで空調にかかる電力を低減できる
省電力PC搭載による環境負荷低減
脱炭素化に向けたパワー半導体への対応
パワー半導体は、電力変換器に使用されるキーデバイスです。電力消費量を減らし、効率よくエネルギーを使用できるため、電気自動車や鉄道車両、冷蔵庫やエアコン、また風力発電、再生可能エネルギー関連など、さまざまなエレクトロニクス機器に搭載されており、脱炭素社会の実現に向けて必要不可欠なデバイスです。
当社グループでは、高電圧・大電流に耐えられ、エネルギー損失が少なく、小型化が可能な次世代パワー半導体に対応した製品のラインナップを強化しています。
次世代パワー半導体対応製品ラインナップ
SiC/GaN基板などの硬脆性材料の研削が可能
HRG200X / HRG300
高剛性研削盤
SiC/GaN向けの高耐圧、大電流に対応したオプションを用意
UF2000
プロービングマシン
高圧・高速研磨によりSiCウェーハの研磨レートを向上
ChaMP-211 / ChaMP-232
CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置
SiC向けのブレードを展開
精密切断ブレード
脱炭素化に向けたモノづくりを支える精密測定機器
自動車や航空機など、動力を効率よく細部に伝えるためには、設計通り、規格通りの部品が必要です。部品の寸法や形状、真円度や表面粗さを測定・管理することで、脱炭素化の実現に向けたモノづくりが進められています。
当社は、「測れないものは、つくれない。」という基本思想の下、測る技術を通じて自動車産業や航空機産業の性能向上・燃費向上に貢献しています。
XYZAX AXCELシリーズ
豊富な測定アプリケーション
自動車産業や航空機産業の性能向上・燃費向上に計測を通じて貢献
サステナブルな社会の実現に貢献する二次電池の安全性評価
近年、温室効果ガス排出がもたらす気候変動が顕在化し、世界各地で自然災害が多発しています。特に内燃機関式自動車や石炭を使う火力発電などは大量のCO₂を発生させていると言われており、その抑制が将来の地球環境を救う鍵になります。そのためCO₂を発生させない電気自動車や太陽光発電による電力を蓄電するシステムなどの迅速な普及が必要になりますが、その核になるのがリチウムイオン電池をはじめとした二次電池です。二次電池の充放電性能や寿命の検査ができる当社の充放電試験システムは、電池の開発時試験や製造時検査に使われ、より安全で高性能な電池の開発や製造の安全性・性能の確認に貢献しています。
充放電試験システムラインナップ
半導体と計測の相乗効果による新たな価値創出
当社は、“計測技術”を持つ唯一の半導体製造装置メーカーです。当社ならではの新しい価値創出として、半導体製造装置の計測機器ビルトインモデルを展開しています。表面性状を測定する3D白色干渉顕微鏡であるOpt-scopeを搭載することで、形状や表面性状の検出精度を高め、品質と生産性の向上に貢献しています。
計測機器ビルトインモデルの半導体製造装置
各課題への取り組み