お客さまとともに作り上げた専用機が狭い翼の間を高速かつ高精度に測定する
幅広い事業を展開し、革新的な製品を提供する川崎重工業様に、 製品を導入されたきっかけと使用感を伺いました。
川崎重工業株式会社について
市川様の業務内容についてお聞かせください。
私は品証技術課に所属しています。各製品の検査の内容がより信頼性の高いものになるよう、技術的な観点から検証・確認を実施し、社内の検査業務の改善・効率化や顧客への説明を行っています。また、昨今品質に対するお客さまの要望も非常に高くなってきており、それに満足していただけるような取り組みを行うことも私の仕事の一つですね。 今年は、需要が一旦落ち着いたこともあり、この期間を逆にチャンスとして、今の品質レベルに対してさらに高い品質レベルを目指していこうとさまざまな取り組みを行っています。そのためには、測定の技術革新が引き続き必要で、御社にはさまざまな技術的な相談や検討を依頼しています。
製品採用のきっかけ
東京精密のブリスク測定機を導入していただいたきっかけは何でしょうか?
三次元座標測定機選定の際には、もちろん技術的な評価を重視しています。そうすると、現存の機能に加え、当社の将来を見据えたニーズを満たせるような機能が追加で必要となってきます。そのときに、当社が求めるものを一緒に作り上げていくパートナーが欲しいとなり、それに応えてくれたのが御社でした。
従来、ブリスクを測定するには非常に工数がかかっていました。それを半減し、かつ占有面積も減らし、そしてもちろん精度も維持した装置が欲しかったんです。そのため非接触式の測定機はどうかという話になりましたが、翼の間をぬって測定できるようなものはどのメーカーにもありませんでした。そこで御社に我々のニーズをくみ取りながら開発していただく、という流れになりました。
そんなふうに、一緒に装置を作り上げていく、ということをしていただけるところはなかなか国内には少なかったので、御社に手を挙げていただいて非常に助かりました。
製品導入後の感想
実際にブリスク測定機を導入されて、使用感はいかがですか?
導入前に期待していたのは、ばらつきの少なさでした。そのために、非常に良いセンサーと、それからベースとなる測定機本体の精度も必要としていました。実際に導入してみて、期待していたとおりのばらつきの少なさが実現できていたので良かったと思っています。
それに加え、意外な副産物も多くありました。例えば、精度の向上により信頼性の高い結果が得られ、再測定する機会が減ったことですね。ほかに、原因分析がスムーズにできることも挙げられます。従来は測定がばらついているのか物の出来がばらついているのかという部分から分析を始めていましたが、測定の精度が高く信頼性が高いので、その必要が減りました。
計測機器、東京精密に期待すること
今後、どのような測定機器が欲しいとお考えですか?
今後、非接触式の測定機は増えていくと思います。現在我々が接触式測定機で苦手としている測定箇所がたくさんあるので、そこを非接触式で賄っていけるんじゃないかと期待しています。
非接触式は、接触式と違い、微小な円弧の部分なども高速で点をざっと取れます。わざわざ測定したい部分を狙って測りにいかなくても、全部取ったデータからその部分を評価するということができるので、そういう意味では形状測定機とも言えますね。
現在、三次元座標測定機が苦手とする部分を形状測定機で測るために、製品のレプリカで型を取り、それを形状測定機に持っていき、検査員が測り、そしてデータにしてと非常に検査員の工数がかかる状態となっています。しかし、非接触式を用いてできる限り三次元座標測定機で測定可能になれば、その工数が格段に減ります。
形状測定を非接触式でできれば、かつ、それを三次元座標測定機のところで行えれば、プログラムの中で全体を測定して、評価できるようになる。そういったものが欲しいと思っています。
東京精密に期待することはありますか?
昨今、人の確保も非常に重要な事項となってきます。それも、ただ確保するだけではなくて、教育期間を設けて検査員としての能力を育てていかなければなりません。しかし、検査員を育てるというのもなかなかに難しくて。となると、やっぱりできるだけ自動化したいというニーズがあります。そこで御社にも求めたいのは、測定機単体だけではなくて、全体の前後の段取りも含めた、システム全体としていろいろ提供していただきたいと思っています。そういった部分で、また今回のブリスク測定機のように、一緒に相談させていただきながら装置を作り上げていけたらなと思っています。
川崎重工業株式会社
航空宇宙システムカンパニー
航空エンジンディビジョン
エンジンQM総括部
エンジン品質保証部
エンジン品証技術課
基幹職
市川 善浩 様
川崎重工業株式会社
創業者の川崎正蔵が明治11 年に東京・築地に川崎築地造船所を開設したことを起源として、明治29年10月に設立。航空機やジェットエンジンはもちろん人工衛星まで手がける航空宇宙事業、造船事業、鉄道車両事業、エネルギー・環境関連システム事業、油圧機器や産業用ロボット等の各種産業機械事業、モーターサイクルやジェットスキー®等のレジャー製品等、”Kawasaki”ブランドのもと幅広い事業を展開し世界に製品を送り出している。
※2021年10月時点の記事です。
製品情報